シンガポールで乗る予定だった営業車のブルーバードが修理に入ってしまったため、私は同僚の営業マンのH君の車に乗せてもらって、二人の客先を回ることになりました。 H君は実家が自動車の修理工場をやっているそうで、車に詳しくて話が合うので車中の会話は楽しかったです。 またお酒も好きな奴だったので、夜のシンガポールで美味しい料理やお酒を一緒に楽しみました。 英語もかなり上手かったので、彼のお客に一緒に行ったときに彼が話す内容を聞いていて、なるほどそういう風に話すのかと営業トークの勉強にもなりました。
英語の勉強も続けていましたが、一番参考になったのは英会話イディオム1000とか2000といった本を買って読んで、多くの決まった言い方を覚えることでした。 定型的な言い方を沢山覚えると大体の場面で話しが途切れることが無くなりました。 発音に関しては日本人英語発音ですが十分通じました。 後に駐在した国でも感じたのですが英語を母国語としていない国の人達の発音はその母国語の発音に近い英語の発音をしますので、色んな英語発音があるということです。 英語の方言と言っても良いとおもいますが、それで十分通じるのです。 中国語も同じで、中国の標準語は普通語(プートンハー)と言いますが、台湾やシンガポールや香港やニューヨークのクィーンズの中華街等でみな少し発音が違いますが、皆理解しあっています。 そういう環境で話をして来たからです、中国本土に住んで外部の人と余り話さない人達の方が外部の人達の会話を理解できない面もあったりして面白いと思いました。
私も出張で香港の空港に居た時に中国人のお婆さんが話しかけて来て、ここに行きたいがどうやって行くんだと聞かれたときに、私の拙い中国語の発音で行き方を説明しましたが、理解してくれて、ちゃんとそちらに歩いて行きました。 わーっ、僕の発音でちゃんと理解してくれた、道案内が出来たよと嬉しくなった記憶があります。
シンガポールで担当していた客先は日系企業も有りましたが欧米系の企業も有りました。ブルーバードも修理が終わり、一人で運転してお客を回り始めました。 購買担当者は大体現地人で会話は英語となりますので、仕事のクレームや予定や価格や納期、さらには設計図面を開いて内用説明等を行わなければならないので、どう言ったら良いのか分からない時も多く、終わった後にどう言ったら良かったのか辞書や参考書をよく読みましたが、慣れてくると適当に話せる様になり、それ以上は勉強しなかったことを今は後悔しています。 しかし帰国してからは話す機会も減って聞く耳の英語力も衰えてしまいました。
日系企業の客先で現地に駐在している方は、大体二人から三人くらいで、日本人の営業マンが来ると日本語で話をしたくて直接対応してくれる方も居ました。 そういう方は我々が対応している他のお客の話も聞きたがって、あの会社はどんな状況か? 担当していたあの人はまだ居るのか? などと聞いてきたりしますので、企業秘密的な話は答えませんが、雑談的な話は答えていました。 そうすると親密な付き合い方になってきて、結構新モデルの開発計画があるけどお宅でこんな部品できる? というように事前に情報がもらえたりするようになるのです。 そうなったらしめたもので、結構そういう関係で優先的に仕事を発注してもらったり出来る様になりました。
勿論そういうお客様とは休日に一緒にゴルフに行ったり、会食をしてカラオケバーに行ったりして親しくさせてもらっていました。 駐在員の少ない会社の方はゴルフに一人で行くのも大変なので、誘うと喜んでくれました、ゴルフをやっていた効果というのもそこで気づきました。 日本でも接待ゴルフが有りますが、効果は同じですね。 ただ海外の方が親しさが増して、我が社からなるべく買ってあげようという意識を持って頂けたと思っています。
欧米系の企業だと日本人は居ないので、購買担当の現地人(シンガポールには福建省系、広東省系の中国人やインド系、マレーシア系がいます。)と会話をすることになりますが、どの国系かで考え方も違うように思いました。 中国系の人たちは自分に役にたつかで相手を判断する面が強く、インド系は理路整然という感じで、マレーシア系はまあいいじゃん的な面が有る様に感じました。 中国系の人たちはお前の会社に俺の従兄を入れてくれないかなどとお願いされたりしましたが、その他の国系は余り強くそういう要求をして来ないなと当時は感じました。
ゴルフですが、我が社のシンガポール工場と支店には営業系と製造系で40名くらいの日本人駐在員が居たので、ゴルフに一緒に行く相手には困りませんでした。営業マン同士や営業マンとお客様、営業マンと製造部門の人達と言うように色々な人達と回りましたが、そういう付き合いが仕事の潤滑油になったことは間違い有りません。 そういう面ではゴルフをやっていて良かったと思ったものです。
ほぼ毎週土日は誰かとゴルフをしていました。 海外のゴルフ場は18ホールを周るのに途中で食事休みを取ったりしないので、朝8時くらいにスタートしたら13時くらいには終わりますので、帰って食事をして午後は買い物や勉強が出来る環境です。 日本のゴルフ場はお客を沢山入れすぎるので18ホールを9ホールづつに分けて、9ホール周ったら食事休憩時間を1時間以上取らせてその時間に他のプレーヤーを入れて売上を増やし、食事やビールの売上でも儲けるというやり方をするので、日本のゴルフは朝早く家を出て、夜になって家に着くという様に丸一日かかることになります。 日本に帰国してからは、その丸一日かかるゴルフが嫌になり、海外出張した時に海外でやる以外は日本では義理の付き合いの時しかゴルフをやらなくなりましたが、最近は体力を付けるために歩くのと体を動かすことが必要と思い、また始めるかなと思っています。
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