母にぼうやと呼ばれた思い出

母にぼうやと呼ばれた思い出

あれは小学校3年生くらいの時です、体操着を忘れて学校に行った私は忘れて来た事にも気が付いていませんでした。 すると2時限目の授業中に教室の後ろの扉が開いて後ろから「ぼうや! ぼうや!」と呼ぶ声がするのです、なぜか女子生徒も含めて全員が後ろを振り向きました。 そうしたら母が私の方を見ながら「体操着忘れたわよ!」と言ったのです。

教室の皆がどっと笑ったので、私は恥ずかしくなって小走りに母のところに行って体操着の入った袋をむしり取って「有難う」とも言わずに急いで自分の席に戻りました。 その時は同級生全員の前で「ぼうや」と呼ばれた事が恥ずかしくてたまりませんでした。

家に戻ってから母に「なんで休み時間まで待ってくれなかったんだよう! 皆にからかわれたじゃないか!」と抗議しましたが、時すでに遅く、案の定その日から1週間くらいは仲間から「ぼうや!」「ぼうや!」と言われてからかわれて、それまでは割とリーダー的な立場に居た私の立場は地に落ちました。

そんな母も今は90歳を超えて長生きしています。全くボケもせず、両膝が弱って曲がってしまい、歩くのが痛いと言っていたのに、いつの間にか自分で慶応病院に予約をして一人で入院して人工関節の手術を両膝にしてもらい、退院してしばらくしたらサササッと歩けるようになっていました。 そしてまた好きなカラオケ教室に通っていましたが、コロナウィスルが流行してからは行けなくなり、1階で一人でラジカセを鳴らしながら歌っています。私たちは上階に住んでいるのですが、かすかに歌声が聞こえます。

玄関の横の植え込みでゴーヤや獅子唐やナスを植えて出来た小さな実を食べています。

元気なのは良いのですが、人の顔を見ると、「余りお酒を飲むんじゃないよ、その分お金を貯めておきなさい。 今年は余り運の良い年じゃないから動くんじゃないよ。」とか、良い年をした息子に色々言われるのに辟易としているこの頃です。

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