私がまだ幼稚園に通っていた頃、父が毎週童話の本を3冊づつ買ってきてくれました。 ひらがなと簡単な漢字だけの本でしたので、分からない漢字は母に聞きながら一生懸命読んでいました。私が好きな本はハードカバーの表紙に動物やブリキのロボットみたいなものの絵や男の子の絵が描かれた本でしたので、毎週3冊を受け取ると、まず表紙にそういう絵が描かれた本から読み始めていました。 お姫様の様な絵が描かれた本は他に読む本が無くなったら仕方なく読むという読み方をしていました。そうやって好きそうな本から読み始めても、週の半ばを過ぎると全部読み終わっていて面白かった本だけを繰り返し読んでいました。
それでもアンデルセン童話集やグリム童話集、イソップ物語等は全て読んだと思います。その他に日本の竹取物語や金太郎や桃太郎と言った童話も読みました。 記憶に残っている作品も有れば記憶に残っていない作品も有りますが、一番記憶に残っているのは「水の国の赤ん坊」という本です。
トムという煙突掃除の仕事をしていた少年が川沿いの建物の煙突掃除に入った家の女の子に意地悪されたりするのですが、その辺ははっきりしません。 トムは煙突の中を掃除しながら下りて行くのですが、途中で足を踏み外すか何かで煙突から落ちてしまい、そのまま川の中にドボンと沈んでしまうという話だったと思います。 そして気が付くと海の中に居て、赤ん坊になっているのです、他にも沢山の赤ん坊が居て、みんなで海底の岩に昆布やわかめの苗を植えて育てて行くという話で最後にはまた人間の少年になるという話だったと思います。 水の中にそんな世界が有るんだと子供心にすごく印象に残りました。
そのほかにイソップ物語のキツネの話も面白いと思いました。 一番上にある本がオズの魔法使いの話ですが、表紙にブリキの木こりが描いてあって、それがロボットに見えたので真っ先に読みました。 ドロシーはアメリカの家に居る時に家ごと竜巻に持ち上げられて魔法の国に落ちますが、ライオンやかかしやブリキのきこりと力を合わせて、魔法使いを倒したりして最後はアメリカの家に帰ることが出来たのですが、結構話が複雑で内容は良く覚えていません。 それでも小学校に上がる前に沢山の童話を読めたことはありがたかったと今も父には感謝して手を合わせています。
今は色々な作家の小説を読んでいますが、10年以上前には塩野七生の「ローマ人の物語」にはまり、すごい長編ですが、読み始めてから、以前一度出張で訪れたローマをロクに観もしないで素通りした遺跡をまた見に行きたいと反省して、その後3回訪れて歩いて見て回ったくらいです。
浅田次郎は私より少し年代が若いですがもとは暴力団員であったとは思えない筆致で泣かせの次郎ちゃんと呼ばれる様な心に沁みる小説を沢山書いています。「蒼穹の昴」「鉄道員(ぽっぽや)」や「角筈にて」「壬生義士伝」などはその代表格ですね。「霞町物語」などでは私が子供時代に過ごした生活圏と重なる部分を書いていて良いなと思いました。
藤沢周平、東野圭吾等も好きで読んでいますが、やはり一番読んだのは塩野七生のローマ帝国時代からルネッサンスに至るまでのイタリアを中心とした小説です。 またイタリアを訪れて今度はアドリア海側を回って南のバーリ辺りまで行ってみたいと思っています。
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