ヨットの思い出

ヨットの思い出

大学2年生の時に高校から一緒の友人がヨット部に入っていました。 その頃はブルーグラスやカントリーウェスタン等の音楽が好きでバンジョーを練習したりしていたのですが、ヨットにも興味が有りヨットに乗せてくれと友人のY君に頼みました。 部員じゃなきゃ乗せる訳にいかないが、部費不足のおりから古い船を一艇売ろうと思っている、それを買ってくれたら一緒に合宿に連れて行ってやるよ。 操縦の仕方も教えると言ってくれましたので、必ず買うから他に売らないでくれと伝えました。 しかし提示された7万円という大金は持っていません。(当時の大卒の初任給より少し安いくらいでした。) そんな訳で急遽アルバイトを探して、ある電気製品の量販店の商品配達のアルバイトが時給が良かったので、そこでアルバイトを始めました。

このアルバイトはお客さんが買ってくれたテレビや冷蔵庫や洗濯機等をトラック運転手の社員と一緒にトラックに乗って配達をする仕事です。 冷蔵庫をアパートの二階とかに階段で運ぶ時は少しキツイですが、殆どの時間がトラックの助手席に座っているだけだったので、東京近郊の道路も覚えられる事もあり、楽しくやっていました。 テレビを配達するときは殆ど同時にテレビアンテナも立てて配線する作業があります、アルミのはしごで屋根の上に登ってアンテナを立てて針金(ステイ)で固定して、アンテナの向きを東京タワー方向に回して写りの良い所でネジで固定するのですが、沢山立てたのでかなりベテランになりました。 おかげで知らない土地に行ってもアンテナの向きを見れば東京タワーの方向が判るので道に迷わなくなりました。(GPSなどは無かった時代です。)

トラックに商品を積む時は2段に重ねて積む時も有り、その時はロープを掛けて固定しますが、万力締めという特殊な結び方をして強く締めます、そのやり方もマスターしました。 このアルバイトは大学4年まで時々スキーや旅行に行こうと思って金欠になると続けていました。そうして5月の連休中も働き、6月一杯かかって8万円か9万円を貯めましたので、7月初めに大学ヨット部の中古ヨットを買い取りました。 カシオペア級という全長20フィート(約6m)のべニア板製の二人乗りのヨットです。 その当時はスナイプ級という同サイズのヨットがオリンピックの使用艇だったので、使わないカシオペアは邪魔だったんだなと後で気づきましたが、楽しく乗れるのでオリンピックを目指していない私には問題ありませんでした。 ヨットを買った7月の後半からヨット部の合宿が有り、千葉の館山の合宿所までレンタカーのトラックを借りて、傷がつかない様にヨットを載せてアルバイトでマスターした万力締めで固定して運び込みました。 ヨットを下ろしてとんぼ帰りで東京のレンタカー屋にトラックを返して、翌朝朝一番の総武線で館山に向かいました。

朝からヨット部の合宿に参加させてもらい、Y君が一緒に乗ってくれて艇の扱い方を教えてもらいました。 と言っても知識が全くなかった訳でなく1か月前くらいにY君が「ヨット百科」という本をくれて、これを読んでおけと言われていたのです。 それに書いてある扱い方等は頭に入っていたので、その知識を実際に使って覚えるという形でした。 しかし、頭で分かるのと実際に出来るのとは別物で風の読み方、波の読み方、ラダー(舵)の扱い方等難しいことばかりでした。

1968年発行のヨット百科の表紙です、これを読んで基礎を学びました。

それでも1週間くらい合宿したら何とか一人でも(ワンハンドと言います。)船を扱える様になりました、カシオペアもスナイプも二人乗りのヨットです。 スキッパー(艇長)とクルー(乗員)の二人で操縦します。 帆もマストに大きなメインセールと前に有るジブセールの二つが付いています。メインセールにはブームという太い棒が帆の下の部分に横に固定されていて、そのブームをロープで右に引いたり、左に引いたりして操作して風を受けます。

風に対してかなり強く切り上がっていますので、艇が傾かない様に海に乗り出してバランスを取っています。結構ハードなんですよ。

風の向きに対して船体は斜めに向けてジグザクに方向を変えることで、風があるのに風上に向かって進めるのです。この向きを変える事をタックと言います。  ブームと舵の操作はスキッパーが行い、前のジブセールの操作はクルーが行います。乗員はタックの度に船の左右に移動するので、ブームに頭をぶつけたり、すねをセンターボードという船底からひれの様に出して横流れを防ぐ板を収納するケースにぶつけたりして痛い目に会いながら乗っています。 しかし一人で乗るときはジブセールもスキッパーが扱わないといけませんのでジブセールを右や左に張り替えるロープは足で押さえることになります。 今はロープストッパーの様なものが有るでしょうが、基本は二人乗り艇だったので一人で乗る時は当時は足で踏みつけて固定していました。(笑)

このヨットは追い風(追手)を受けているので帆を両側に開いて後ろからの風を受けています。

乗っている時は楽しいヨットですが、シーズンが終わると痛んだ箇所の修理や部品の交換などものすごく手が掛かりました。 帆(セール)は自宅の風呂に水を張って、その中に漬けておいて塩抜きをして、二階のベランダから下げて干します面積が広いので大変です。 つぎに船体ですが、まず幅1.5mx長さ6mものトラック並みの大きさの船を置いておく場所を見つけないといけません、私の家は父の車が駐車場にあるので置けません。 色々探して高校時代の友人のF君の家の庭が空いていたのでそこに置かせてもらいました。 それから船体のペンキを焼き剥きと言うバーナーで焼きながらヘラ(スクレーパー)でこすり落とします、今はグラスファイバー製の船体になっていますが、昔は木製だったのでペンキの塗り替えが必要でした。その時は友人を数名呼んで手伝ってもらい、逆さにして船底を塗り終わったら元に戻して今度はデッキをペンキで塗装し直します、これが手間が掛かります。ペンキの塗り直し方法は以下の様なものです。

全部ペンキを落としたら傷のあるところや痛んだところをパテで埋めたり、べニア板で補強したりします。 それからペンキの塗り直しです、下塗り剤を塗って一日乾かして次にペンキを塗って一日乾かして、またペンキを塗ります、これに何日も日数がかかります。 F君の家は経堂に有ったので毎日授業が終わるとスズキのGT350という愛車のバイクに乗って通っていました。

こんなヨット保有生活を2年続けたのですが人にも迷惑が掛かるし、時間も費用もかかるので2年が経った時に安くで売ってしまいました。 ヨットは陸から見ていると優雅ですが、乗っている乗員は脛をぶつけたり頭や腕をぶつけたりで青あざを作りながら乗っているハードな乗り物です、おまけに保守にも時間とお金が掛かります。その後ヨットには友人の小さなクルーザーに2度ほど乗った程度で乗っていません。 でもまたいつかチャンスが有ればヨットに乗ってみたいと思っています。

 

もし、スポーツ用品やキャンプや登山や体作りのプロテインに興味のある方は下のサイトからアルペンのサイトに行き、気に入ったものを見つけて下さい。



楽天の商品をご覧になりたい方はこちら。

ネットで買えば断然お得!お買い物なら楽天市場

Amzonの商品に興味のある方はこちら。

【9月度おすすめ】DIY・工具・ガーデン商品

ファッション・コスメ 公式取り扱いブランドをご紹介

コメント