私が小学校5年生の時に叔母と叔母の友人に連れられて、その友人の男の子も一緒に油壷の海水浴場に遊びに行きました。 私は小学校ではプールが開いている夏の期間だけですが水泳部に入っていましたので数百メートルは泳げました。それで海で泳ぐのも平気でした。
最初のうちは一緒に行った男の子と別々に海に入って波打際に近いところで泳いでいました。 お昼のお弁当を食べてからまた二人で海で遊んでいたら沖の方から泳いできたおじさんが立って歩いて砂浜の方に来たのですが、手に生きた蛸(タコ)を持っていたのです。それを見た私たちは、僕たちも捕まえたいねと話して蛸を捕まえに行くことにしたのです。(子供の考えですね。)
僕たちの装備は腕にはめるくらいの小さな浮き輪が一つだけと水中眼鏡でした。そして二人で手をつないで沖の方に歩いて行きました。 するといきなり男の子が水中に姿を消しました、アッと思ったら私も水中に引き込まれました。 浮かばなきゃと思って手を動かそうとしたら男の子が抱き着いてきたのです。 すごい力で抱き着かれて私は足だけバタバタさせて水面に浮かぼうとするのですができないのです。
海水を飲んで苦しくて私もバタバタしていました、死んじゃうのかなと思った瞬間に大きな手が私をつかんで持ち上げてくれましたので、バタバタするのを止めたら息が出来る水面に出ていました。 大人の男の人がしっかり抱き上げてくれました。
男の子を見るともうひとりの男の人が抱き上げて水上に出ているのにまだバタバタしていましたが、男の人が「もう大丈夫、もう大丈夫!」と大きな声で話しかけたらやっとおとなしくなりました。
砂浜に下ろしてもらってから、男の人が「なんであんなに深い方に行ったんだい?」と聞いたので、二人で蛸を取りに行こうとしたんですと答えたら「蛸は深いところにいるから子供には捕まえられないよ。それにここの海岸は急に深くなっているから危ないんだよ。」と教えてくれました。
それからその人たちにお礼を言って叔母さん達が座っている所に二人で戻りましたが、男の子はまだ泣いていて、叔母さん達がどうしたの? と聞くので海で溺れて男の人に助けてもらった話をしたらびっくりして、ひどく怒られました。 それにしても泳ぎに自信が有った私も溺れた人に抱き着かれたら泳げなくなってしまうんだというのを身に染みて経験した一日でした。
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