スロットレーシングカーの思い出

スロットレーシングカーの思い出

私が中学校1年と2年の頃の思い出です。その頃はスロットレーシングカーという高速で走るおもちゃのレーシングカーのレースが流行っていました。今でも根強いファンはいるようでスロットレーシングカーのサーキットが今でも営業しているようです。

私も初めてスロットレーシングカーの組み立てキットを買って、組み立てて走らせたときは乾電池で走るおもちゃの自動車の何倍ものスピードで1周が80mもある様なサーキットをグルグル走る車を手元のコントローラーでコントロールすることにすっかりハマってしまいました。

最初は市販の組み立てキットを組み立てた車で楽しんでいたのですが、一緒に走らせている他の人達の車がとても速くて全然追いつきません。 何であんなに速く走るんだろうと思って大人の人に話しかけて、どうしたらそんなに早く走らせることが出来るのかを聞きました。

そうしたら、色々な改造ポイントが有って、マブチ社の直流モーターの磁石の隙間を詰める改造方法や回転子に巻かれたエナメル線を巻き数を増やすように巻きなおす方法、シャシーの重心を下げる方法、ボディを軽量化する方法、タイヤサイズを最適なものにする方法などを教えてくれました。

一度に全ての改造は出来ないので、まずはモーターから、次にシャシーの改造等、順番に改造をするようにしていきました。 改造すると、車は少し早くなって他の早い車について行ける様になるのが楽しくて、授業中も改造方法の事ばかりを考えていて勉強は全然しませんでした。

中学校の2年生になっても授業が終わるとほぼ毎日スロットカーレーシングのサーキットに行っていました。家では車の改造にかかりっきりで高校受験の事など全然気にしていませんでした。 そんな私の目を覚ましてくれる出来事がある日学校で起こったのです。

中学2年生のある日に、先生が教室の皆に講堂に集まるように言いましたので、皆でなんだなんだと言いながら講堂に行きました、同じ2年生の他のクラスの生徒も集まっていました。

講堂に立った先生が、同じ学年の T 君が生物の研究で素晴らしい発見をして新聞にも載って、大人の生物学者の人も関心する発見をしたので、それを今から皆さんに発表してもらいますと言ったのです。

講堂の壇上にT君が出てきて、スライドを使って発見の説明をしているのを驚いて見ていました。それは蝶の羽の鱗粉の話でした。 彼は蝶の羽の色々な部分の鱗粉を顕微鏡で見て、羽の淵の部分の鱗粉と羽の平たい部分の鱗粉の形が全く違うというのを発見したのです。 これは生物学者も気が付いていない発見だったのです。

その時に私は自分が恥ずかしくなりました、自分はスロットレーシングカーにハマって遊んでばかりで何やってんだろうと思ったのです。 その日からスロットレーシングカーのセットは封印して遅れ馳せながら学校の勉強をするようになりました。

今は T 君は北海道でお医者さんになって糖尿病の権威になっています。時々私の質問に答えて指導してくれる主治医の様になってくれていますが、毎日遅くまで患者を診て今でも非常に忙しい先生です。 休日には散歩した先の季節の花の写真を送ってくれる優しい人です。

中学2年のあの日の T君の発表が私の人生の転換点であったと思っています。 でもモーターの構造等に詳しくなったという面ではその後の私の会社人生にも役に立ったので、スロットカーレーシングも無駄ばかりではなかったなと今では思っています。

 

 

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